2022年4月1日、広域通信制高校「ヒューマンキャンパス高等学校」(沖縄県名護市)の姉妹校として千葉県茂原市に開校した「ヒューマンキャンパスのぞみ高等学校」。同校では、弊社が提供しているオンライン教育プラットフォーム「Möbius (メビウス)」を導入・活用いただき、現在では両校において、その活用を拡大いただいています。今回は同校の設置法人「学校法人佐藤学園」の米澤南華 様に、「Möbius」導入後の活用状況や、教育業界における今後の展望などについてお話を伺いました。
御校のこれまでの歩みや、現在の状況などについて教えてください。
2014年4月に、沖縄県名護市に「ヒューマンキャンパス高等学校」を開校した当時は、生徒の収容定員を2,400人としていましたが、その後定員増を認めていただき、現在は6,000人となりました。通信制高校といっても、定期的に学校に通うスクーリングがあったのですが、日本各地からの参加が難しい生徒のために、全国の学習センターからのアクセス性が高く、都心からも近い千葉県茂原市に、姉妹校として「ヒューマンキャンパスのぞみ高等学校」を開校しました。
生徒数は年々増えており、現在の卒業生の総数はもう間もなく10,000人となります。特徴としては、学習指導のほかに、生徒の興味を掘り下げる手引きや、進路のサポートやケアに力を入れています。卒業率について、2022年度の実績では98%と高い数値を維持しており、具体的な将来像が描けるような手引きも行っていることが、その表れだと捉えています。
オンライン教育プラットフォーム「Möbius」を導入いただいてから1年が経ちました。その後、活用状況はいかがでしょうか。
先生たちからは導入当初、期待の反面、不安の声も上がっていました。しかし、実際に活用していくにつれ、導入当初期待していた点において、予想通り非常に高い効果をもたらすことができたのではないかと感じています。
生徒側にとっては、従来の紙レポートの際に苦労していた提出物の整理や提出などが、スムーズに行えるようになったなどのメリットが大きいですね。各地に学習センターはあるものの、どうしても通いにくいという場合もあり、提出するために郵送したり、学習センターへの持ち込みに苦労したりしていましたが、そういった悩みを物理的に解決できました。また、各科目の年間学習計画が異なるので、レポート提出締め切りや枚数などの設定もバラバラで、管理が難しかった以前に比べて、Möbiusがあることで分かりやすくなったという声もあります。
先生側は採点時間が大幅に削減され、空いた時間を本質的な学習支援へ充てることが可能になりました。以前は、紙レポートの採点に膨大な時間を割かなければいけませんでした。手書きのレポートなので、生徒が書いた文字や記号の識別などにも時間がかかっていましたね。Möbiusは、優れた採点機能が搭載されているので、スピーディーに添削できています。また、記述式の問題は、生徒の回答から考えなどを知ることができる貴重な機会です。一問一答式の添削はMöbiusの機能を活用しながら、記述式の問題の添削に、より丁寧なフィードバックができるようになりました。また、レポートの進捗具合もMöbius上で都度確認できるのも非常に助かっています。以前は、生徒に個別でコンタクトを取り、状況を確認するものの、紙のレポートの進捗までは見ることができませんでした。Möbiusでは、学習を着手しているかどうか、わかるようになりました。状況確認が必須でしたが、今ではその手間も無くなりました。今後もMöbiusを活用して学習する生徒数をさらに増やしていく予定です。
「Möbius」やHOUSEIに対して、今後期待する点があれば教えてください。
実際に活用する中で、メリットは多々ありますが、そうはいってもまだまだユーザビリティ面や、生徒にとっての問題の解きやすさなど、より細かな箇所に置いて懸念点はあります。実際、現在Möbiusを活用しているのは、パソコンに使い慣れている生徒が大半です。通常の入力はもちろんですが、例えば数学の記号などの入力は、手書きの時よりも難しいと感じますので、どんな人でも入力しやすく、答えやすいような具体的な問題文指示を含めた設問の作成などが求められると思います。自学自習を基本とする学校ですので、生徒自身が教材を開き、積極的に取り組んでいけるかという点において、より精査していく必要があるでしょう。もちろん、Möbiusの操作マニュアルなどは準備しており、オンラインでの操作指導などもしていますが、よりよい方策があるのではないかと、常日頃試行錯誤を繰り返しています。HOUSEIさんには、ぜひこれらの課題を解決するような開発対応や提案などを頂きたいです。
また同時に、生徒の学習環境をより良い状態にするためにも、先生の添削に関して、さらにバージョンアップしたいとも考えています。科目を問わず、より柔軟な設問づくりや、添削が実現できるようにしたいですね。改善できる点はまだまだあると思います。今後とも一緒に意見を出し合いながら、前進していきたいですね。
「Möbius」などのICT教育ツールの活用に注目が集まっていますが、今後教育業界はどのように変化していくと思われますか。
今後は多様な学び方が増え、場所や時間を問わない、教育環境が浸透していくと予想しています。そうなれば「教育」と「個人のやりたいこと」の両立が実現し、自己の才能を開花・成長、将来の進路につながる探究、創作活動などにもっと力を入れられるようになるのではないでしょうか。例えば「海外に行きたい」という生徒がいたとしても、Möbiusを活用すれば、場所を問わず学習を継続しながら生徒のやりたいことに集中できますよね。これまでの時代で築かれてきた学校の概念は、今後徐々に変わっていくでしょう。義務の学習ではなく、ICT教育ツールを積極的に導入することにより、生徒の学習の幅を広げ、能動的に利用できる学習環境を提供していきたいですね。
一方で、AIなどの発展により、「調べればそれらしい答えが出てくる」という環境下で、いかに情報の真実性を証明するのか、どこまでの範囲での活用を良しとするのかなど、さまざまなな課題もあります。目まぐるしい変化を遂げる社会の中で、教育も変わらざるを得ない時代ではありますが、さまざまな生徒の個性を活かせるような教育の実現のためにも、ICT教育は一つの選択肢として効果があるのではないかと思います。
今後の展望について教えてください。
タブレットPCでの学習環境を整えていきたいと考えています。現在は移行期間として、指定のタブレットPCを活用して学習している生徒と、既存のアナログ学習を選択している生徒が混在する状況です。次年度から、紙レポートを廃止し、生徒全員のタブレットPC学習への切り替えを計画しており、活用すべきアプリケーションの精査などの段階に入っています。新たな施策に着手するときは、業界問わずさまざまな課題に向き合っていかなければいけないと思いますが、一つ一つ乗り越えていき、より良い教育のためにまい進して参ります。
通信制高校のヒューマンキャンパス高校・ヒューマンキャンパスのぞみ高校のホームページはこちらです。
オンライン教育プラットフォーム「Möbius」の詳細はこちらです。
強力な数理計算エンジンを備え、カリキュラム作成や練習問題作成、オンラインテストの実施、自動採点、成績管理など様々な機能を備えた総合オンライン教育プラットフォーム。すでに世界400以上の学校で導入されており、学校によっては単位取得率が20%から80%に大きく上昇するなど、高い学習効果をあげています。また、先生の採点・添削などの作業を大幅に縮減することで、学校の運営コスト削減にも役立てられています。
2022年4月1日、「ヒューマンキャンパスのぞみ高等学校」が千葉県茂原市に開校した当時、学校法人佐藤学園教育企画部長の永島伸二様「Möbius」導入に至った背景や今後の活用方法などについてお話を伺いました。併せてご覧ください。
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