会社の沿革~社会のIT変革を見てきた25年間~
―25年間を振り返っていかがでしょうか。
設立数年間は北京大学発という会社背景が信頼性を高めてくれていたので、最初の足がかりになりました。しかし、実績がないと採用してもらえないことが多く、当時の社会の「変化を抱擁しない文化」を特に強く感じた時期でもありましたね。
2009年にシスインも合流し、小さな実績を地道に積んでいきながら忍耐強く継続してきた結果、20年近くかけてやっと思い描いていたこともできるようになってきました。あれからたくさんの経験をして、日々充実している感覚があります。
―会社の歴史を教えてください。
インターネットが出てきた当時(1995年頃)その凄さを認識し、ソフトバンク(のちのSBI)様に出資していただきインターネットビジネスを進めました。しかしその後、残念ながらインターネットバブルがはじけてしまいました。というより今考えるとバブルではなかったなと。インターネットが世の中を変える、というのは確かでした。ただ、ガートナーのハイプサイクルで考えたときに社会適用度グラフは上昇下降を繰り返し、10年くらいかけて安定していく。グラフが下がっている時は偽物だったと思われがちですが、それは過剰な期待があっただけで、本物のイノベーションなら長い時間をかけて徐々に浸透していきます。そこで初めて世の中がその重要性に気がつくのです。私はこの25年間、その世の中の変化を誰よりも肌で感じてきました。
インターネットビジネスで結果が振るわなかったので、ソフト開発などのリアルビジネスに舵を切ってから会社も軌道に乗り、規模も拡大していきました。上場を考えていた2008年頃、リーマンショック(金融危機)が起こり、資本市場が低迷する時期に入ってしまいました。当時の中国の経済状況も加味して、充実した資本の中で事業を成長させてきました。そして2016年、当時の方正集団の経営陣や北京大学の方針を熟慮した結果スピンオフさせ、日本に根を下ろすことを決断しました。その時から、社会にとって有益で影響力のある会社にしていきたいという一心です。有難いことにお客様のご評価を得て、社員もついてきてくれ、順調に会社が成長し、今日に至っております。
社会とHOUSEIの未来を見据えて
―これからの社会はどうなるとお考えですか。
新型コロナウイルスの流行が IT革命を加速させたと感じています。私はコロナの前から、 ITを活用して生産性を上げられると提唱してきました。着実に準備してきた結果、 VPNや仮想サーバーを活用して業務を遂行したので、日本も武漢オフィスもほとんど影響を受けませんでした。ロックダウン中、いつもより生産性が高まったという開発プロジェクトもありました。通勤する必要もないですし、一人で家で仕事していると責任感が芽生え、普段以上に集中してパフォーマンスが上がったことも要因だと思います。
もう一つ感じたのは、コロナは政治経済に大きな影響を与えたので、多様な価値観が形成されていくきっかけになったのではないかと思います。これを節目に、世の中に対して中長期的な影響を及ぼし、今後も目まぐるしくかつてない変化が起こっていくと予想します。特に「健康(寿命)革命」と「IT革命」は2050年くらいまで大きく変わっていくでしょう。我々がヘルスケアの市場で、この25年培ってきた ITのリソースを活用して、既存のものではない形で旗を揚げていける可能性は大きいと考えています。これからのヘルスケアサービスがどうあるべきかということにおいては、今ある事業だけでなく新しい形を創造し、広げていき、そして認知していただくビジネスモデルの必要性が重視されていくのではと感じています。