機械が機械として思考するには
機械が機械として考えるということは、取り込むべきデータを人間に教えられるのではなく、機械が自分で選んでくることです。つまり判断材料を自分で作るということですね。有名な例としては、将棋やチェスなどがあります。「この手は打ってはダメだ」とか、外から人間が教えると、機械はそれを補助として自分で判断してゆきます。
機械が機械(ブラックボックス)を診断しようとした時、機械は最初、順次データを集めて考えてゆくのですが、診断に必要な情報もあるし、不要な情報もあります。そのため、集めたデータから機械が何かを判断するときに、通常は人の助けが必要です。このデータはダメだとか、こういうときは良いとかですね。つまり、自分が集めたデータから自分で考えることは通常はできない。機械の判断の補助のために人間の時間が割かれているわけです。
人工知能の大きな変革というのは「何を判断材料にするか」を自分で考えて、ブラックボックスの中を類推することにあります。食べるもの=つまり取り込むデータを自分で取捨選択していくようなイメージですね。
機械としてただ入力された計算結果を出力するのではなく、機械自身が考えて選びながら結果を見て判断し、さらに考えていく。これを繰り返してより的確な判断をしてゆけるようになっていくと考えています。
つまり、AIにしても、外からデータや判断基準をあらかじめ教えられて、それを基に判断するというのは、これからの時代、AIとは呼ばれなくなるでしょう。将来的には、集めてきた情報そのものを自分で変える(アウトプットそのものが変わる)、という時代が到来すると思います。入力される情報そのものを自分の判断で選別することで、より深くブラックボックスの中を見て、判断していけるようになるとイメージしています。
たとえばGoogleも、AutoDrawのように(https://www.autodraw.com/)絵を描けるようになりましたが、あれは与えた中から特徴的なものを考えて抜き出して、組み合わせることで「表現したい絵はこういう感じですよね」出してくれるものですね。これは、どちらかというと、インプットは受動的だけど、アウトプットが能動的ですよね。
第3回では「パターン認識」に焦点を当ててお伝えします。