大局的に物事を見ることも重要
この世界には様々な国民性があって、必ず一長一短で、何から何まで完璧ではありません。日本では大きな視野で物事を言うのは「大げさだ」とか「もう少し地に足をつけて」と、悪く評価されがちです。これからは、もっと広い視野で、大局的に物事を見ることも重要になると思います。
新しいものを否定する傾向が強い理由の一つは、長く一つの会社に務めているからだと思います。労働者の流動性が世界で一番低く、高いレベルにこだわる職人的な価値観からは、新しいものは欠点だらけに見えてしまう。丁寧でレベルが高いことは良いことですが、新しいものが自分たちの技術を数段高いものにする可能性があるのに、うまく利用しなかった面もあります。エンジニアが、大局的に物事を見る視点を持たなければ、お客様の都度の要望を受け入れて、結果的にコストが高く、汎用性がきかないものになってしまうこともありました。これからは、お客様とともに本質的なところを大切にして、その場でのこだわりだけにとらわれることなく、お客様の将来的な利益(価値)につながるかどうか、もっと広い視野で判断することが大事です。
教育現場でもDXをオープンイノベーションで進めていく
HOUSEIでは、カナダの「Mobius(メビウス)」という、クラウドベースのインタラクティブなコンテンツで効果的な数学教育ができる仕組みを日本で共同展開しています。ダイナミックな質問に答えるとリアルタイムで正誤を判断してくれるもので、学生が講義を理解したかどうか、リアルタイムでチェックできます。正答率が低かったら、もう少しわかりやすいように書き直すと、その瞬間に教科書は変わっています。
このような仕組みを、大学や塾に案内していきたいと考えています。オープンイノベーションで、様々な方の知見を入れながら、最終的には一人ひとりに対して最適な教材になっていくことを目指したいと思います。実は欧米の大学の教科書は高校の教科書みたいな内容で、コンテンツをただ日本語にしただけでは不十分なので、出版社や大学の先生と協力してより日本向けにカスタマイズしてゆきたいと考えています。
感動を与え続けるプロ集団として、お客様のDXを積極的に推進
中国の経営者は経営状況をほとんどモバイルで可視化して、リアルタイム経営を実現しています。HOUSEIが作った中国企業のバックオフィスの管理システムでは、1日何万ものワークフローを流して、しかもリアルタイムで何がどこで起こっているか、全部ダッシュボード化して見られます。先方の要望に沿っていろいろなアイデアを出し合って作ったのですが、HOUSEIでもこれをベースに日本でも脱印鑑を進めたいと考えています。
HOUSEIの社員にはプロになってもらいたい。もちろん今もプロですが、お客様の期待を超える、感動を与える、お客様以上にお客様を知る、そんな本当のプロになってもらいたい。お客様の要望どおりにやるのは最低限のことで、見識をもって選択し、感動を与えるようにがんばってほしいと思います。プロとしてのレベルをさらに高め、システムのプロから感動を与えるプロになってほしいと願っています。
HOUSEIは2020年6月にDX推進室を新設しました。社内のDXも含めて行う先進的な部隊で、お客様に対しても今までと違う切り口で入っていけます。お客様の要望に応えて作るだけでなく、培った知見をできるだけ汎用的なシステムに転換して、非常に高いレベルのデジタル技術を活用した事業形態になっているようにと考えています。それがHOUSEIの目指す姿、目標です。