「DX」ってそもそも何の略?
まず、基本中の基本である「DX」という略語の説明から始めたいと思います。
日常生活では様々な英語の略語を目にしますが、「X(エックス)」が含まれた略語も少なくありません。例えば、「FX(Foreign Exchange:外国為替証拠金取引)」、「CX(Customer Experience:顧客体験)」といった具合です。従来の略語では「X(エックス)」は「ex」を示すことが多かったように思います。あるいはCEO、CFO等をまとめて表す「CXO」の場合は、「X」の部分には様々な文字が入る“ワイルドカード”という使われ方をしています。
ここで「DXはDigital Transformationの略で、exでもワイルドカードでもないじゃん……」と疑問に感じられた方もいらっしゃると思いますが、これには理由があります。「Transformation」の接頭辞の「Trans-」は「Across」と同じ意味であるため、英語圏での省略表記では元々「X」を使うという習慣があるのです。そのため、「DigitalTransformation」の略語が「DX」となったわけです。
同様の使われ方は他でも確認されています。Webサイトを検索していただくと分かりますが、「QX(QuantumTransformation:量子コンピュータによる変革)」、「VX(Virtual Transformation:仮想現実による変革)」、「GX(Green Transformation:脱炭素社会実現のための変革)」等、多くのシーンで使われていることがわかります。
「DX」の意味は?
さて、「DX」が何の略語かは理解できたとして、それでは「DX」とはどのような概念を示しているのでしょうか。
この言葉の初出は、ウメオ大学(スウェーデン)・エリック・ストルターマン教授の「Information Technology and the Good Life」(2004年)という論文だったと言われています。同教授はこの論文の中で「よりよい生活のために技術を批判的に調べることができる研究の出発点として、適切な研究ポジションを確立する試み」(https://ja.wikipedia.org/wiki/デジタルトランスフォーメーション)と解説しています。これが研究や社会実装を前提とした広義の「DX」の定義と言えるでしょう。
その後、多くの人が「DX」について様々な解釈・定義を行っていますが、ここでは経済産業省が2018年にまとめた「DX推進ガイドライン」の内容を紹介します。
同レポートでは、「DX」を「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。昨今、日本で盛んに叫ばれている「DX」はこちらを指していると言えます。つまり、狭義の定義となります。
下の図は、その経産省の定義(図左)に、当社の企業としての取り組み、姿勢を付け加えてみたものです。一度始めた変革には終わりがありません。次々と現状を否定し先に進む、そうして未来を創り上げていく、そのような持続的なデジタル化、改善活動こそが「DXの本質」です。
また、「DX」の推進にあたり、「DX人材」を社内に持つべきか否かという議論も盛んに行われています。もちろん、適切な人材がいれば社内で確保したほうが良いことに変わりはありませんが、ご存知の通り、日本のIT人材不足は深刻です。現実解として提案できることは、人材確保を推進しつつ、顧客とともに伴走してくれるIT専門集団企業を見つけ、積極的に活用していくことです。そうすれば、御社が目指す「DXのカタチ」も自ずと見えてくるのではないでしょうか。
次回は「DX」実現のための3ステップについて解説したいと思います。